左手に束で抱えたチラシを道行く人たちにそっと差し出す。
「求む情報!」
A4判の一枚紙にはそう書かれている。2000年3月、27歳の自衛官が何者かに刺され命を落としたこと、目撃された犯人の特徴とともに。
現場となった、福岡県久留米市内の交差点の地図、当時の様子がわかる風景写真も載っている。写り込んでいる建物はすでに取り壊され、いまはもうない。
事件から長い年月がたった。チラシを受け取らず通り過ぎる人も。それでも、姉の切明(きりあけ)恵美さん(55)は思う。
「ちょっとでも関わったなら覚えているはず。犯人なら忘れたくても忘れられない」
今年も事件があった3月11日に、警察官と800枚を配った。
街頭に立ち始めたのは20年。そうなるまでに、20年かかった。
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殺人事件の時効が廃止されてから今年で15年。未解決の殺人事件の真相解明の一助になることを目指し、事件を一覧できるページを作成しました。各事件のリストでは、情報提供ができる電話番号も掲載しています。
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